モノクロームからセピアへ。いや、西へ。
道端で花を踏んだんだ。
名前のわからない、濃淡くっきりしないピンク色の花が折れていた。
よく見ると、折れた茎は異様に綺麗な切断面をしている。
はたして、ただ踏みつけただけでこんなに綺麗に折れるのだろうか。
悩み、顎に手をやった瞬間。
ふと気づく。
右手にカッターを握っていた。
なるほど。
カッターで花を切ったのだ。
よく見ると、花はとても綺麗じゃないか。
せっかくなので、この花を持ち帰ろうと思う。
左手を伸ばす。
手にはアザミが握られていた。
アザミを道端に捨てた。
手は傷だらけだった。
あのアザミには無数のトゲがあるのだ。
どうでもいい。
道端の花が欲しいのだ。
左手でチョウセンアザミを手に取った。
私は、彼女の背中を眺めていた。
道端には、月見草が落ちている。
せっかくなので、この花を持ち帰ろうと思う。